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世界一グリーンな都市、バンクーバーー

自然と隣り合わせにある街の一歩進んだ環境意識

 バンクーバーを訪れると、誰もが驚かされるのは、街と自然との近さです。高層ビルが林立するダウンタウンは、穏やかな海に面して広がり、すぐ北にはうっそうとした温帯雨林の森が迫ります。さらにその先は、氷河を抱いたコースト山脈の山並みへと続き、たとえビルの合間にいても、キリッとした空気の中に常に緑の気配が感じられるのが印象的です。

 バンクーバーは、この環境の良さから「シティ・バイ・ネイチャー」(自然と隣り合わせの都市)とも呼ばれ、英国の経済誌「エコノミスト」が行う「世界で最も住みやすい都市」の調査では、毎年上位にランクイン。すでに世界レベルで美しい街として知られています。

 現在、この街の目標は、2020年までに「世界で最もグリーンな都市」となること。これは2009年に発表された環境問題対策の10年計画「バンクーバー2020ブライト・グリーン・フューチャー」(明るくグリーンな将来)に基づくもので、具体的には、建築物などにエネルギー効率がよく環境に優しい技術を導入、大型廃棄物の削減、リサイクルの促進など、経済的な基盤作りから実施してきました。

 また温室効果ガスの33%削減を目標に公共交通網を整備し、ダウンタウン広域に自転車専用道路を作るなど、様々な具体的プランも実行されています。

穏やかな海に面して広がるバンクーバーのダウンタウン 高層ビルの合閒にも、緑が点在 木が多用され、環境に優しい建物が多い(バンデューセン植物園)

カナダ第3の都会ながら、すぐそばに大自然が迫る環境のよさ

市民レベルで起きる「自然な食」のムーブメント

マーケットには地元の食材がたっぷりと並ぶ。オーガニック製品も人気 州内で作られた食材のみを扱う「エディブルBC」など地産地消を推奨する店は多い

 エココンシャスな感覚は、もちろん一般の住民にも浸透しており、民間レベルでもユニークな環境維持運動が起こっています。とくに「食」に対してナチュラルであることを求める意識は根強いものがあるようです。たとえば、半径100マイル以内で生産された食材を食べようという「100マイルダイエット」は、バンクーバーの一般市民が書いた本がきっかけで、瞬く間に北米全土に拡散。また、海洋環境に影響の少ない方法で獲られた旬の魚介類だけを食べようという「オーシャンワイズ」のムーブメントも、バンクーバー水族館が提唱し、今や世界中のレストランや家庭に広がっています。

 目指す2020年まではあと少し。「世界一グリーンな都市」という目標はかなり達成に近づいているのではないでしょうか。便利さや経済発展の前に、まず環境を優先させる、そんな姿勢は訪れる人にとっても居心地良く、すこぶる快適です。

緑の中にある街のナチュラルな日常

 環境に優しい都市といっても、決して堅苦しく身構える必要はありあません。バンクーバーの素晴らしさは、すぐ近くにある自然の中に飛び込んで、思う存分にアウトドア体験を楽しんでこそ、実感することができます。

 たとえば、この町の〝グリーン〞を代表するスタンレー・パークを訪れてみてください。ダウンタウンのすぐ横に広がるこの広大な公園は、1886年、バンクーバー市の初めての市議会で緑地の確保が決定され、以来100年以上の歴史の中で維持されてきた貴重な場所です。内部は深い森に覆われ、無数にのびるウォーキングトレイルに足をのばせば、街の中にいることなど忘れてしまうほどに静かです。

 このスタンレー・パークを含め、ダウンタウンの海沿いには「シーウォール」という遊歩道が整備されています。街を縁取るように続くルートの総距離はなんと22㎞。市内の随所からアクセスでき、海と山の絶景を堪能しながら歩くことができます。散歩をする人だけでなく、ジョギングやインラインスケート、サイクリングを楽しむ人などが1日中たえず、それぞれ自由に、自分のスタイルで楽しんでいるのが印象的。バンクーバーッ子たちの自然を愛する日常が伝わってくる場所です。

 また美しいビーチが何カ所も点在しており、こちらも市民憩いの場となっています。とくにダウンタウンのすぐそばに広がるイングリッシュベイ・ビーチは、壮大なサンセットが眺められる絶景スポット。夏の夕方には、ここで流木に腰掛けて海に沈む夕日を眺めるのが人々のお気に入り。心にしみるようなひとときが過ぎていきます。

スタンレー・パークをはじめ、海岸線沿いにシーウォールがのびる スタンレー・パークの内部は巨大な森で無数のハイキングトレイルがのびている 素晴らしいサンセットが見られるイングリッシュ・ベイ ダウンタウン周辺でカヤックやウィンドサーフィンなども楽しめる 市内随所でリスやアライグマなど野生動物の姿も

少し足をのばせば本格的なアウトドア体験も

キャピラノ吊り橋のある森まではダウンタウンから車で20分 バンクーバーの北、「シー・トゥ・スカイ・ゴンドラ」で絶景を堪能できるスコーミッシュ

 もちろん、街の周辺のダイナミックな自然地帯に足をのばすのもおすすめです。長大な吊り橋がかかる森の中でハイキングができるキャピラノ渓谷、ロープウェイで山頂に登り、市街を一望することもできるグラウス・マウンテン。さらに、車で1時間ほどのところには、印象的な岩山スタワマス・チーフで知られるスコーミッシュの街があり、そこからさらに1時間ドライブすれば、世界的に有名なマウンテンリゾートのウィスラーに到着。絶景の中で本格的なアウトドア体験に挑戦することができます。

「世界一グリーンな都市」をベースに、大自然とふれあって過ごす、そんな贅沢なひとときをバンクーバーで体験してみませんか。

本格的なアウトドアスポーツが楽しめるウィスラーへは車で2時間の近さ

Photo: Tourism Quebec (Laurene Bath, Heiko Wittenborn, Yann Arthus-Bertrand, Marc Loiselle, Jean-François Frenette, Benoit Cecile) Luc-Antoine Couturier, Guy Lessard, Hiroko Yoshizawa