北海道のほぼ中央、石狩平野の北端に位置する滝川市。2013年6月末、この地で建設が行われていたメガソーラー発電所「伯東滝川ほほえみソーラーパーク」を訪れました。市の中心部から車で10分ほどの、住宅地と田園とが広がる緑豊かな一帯。そんな穏やかな風景の中に、大きな建設現場は現れました。敷地はとても広く平らで、全体を見渡すことができないほどです。これだけの土地が街の中に確保できたことに驚かされましたが、実はここはかつて大きな市営住宅があったところ。その跡地を有効活用するため、このプロジェクトが立ち上げられたといいます。
そもそも住宅地だったということもあって、日当たりは申し分ありません。春には市内のいたるところが黄色い花畑で彩られる「菜の花まつり」が行われるほど日照条件は良く、また本州に比べて梅雨や台風などの影響をあまり受けないという利点もあります。さらに、一年を通じて気温が低いため、ソーラーパネルの温度上昇が抑えられ、発電効率が良いという北国ならではの効果も期待できます。
もちろん、さまざまな心配要素もありました。これだけ大きな太陽光発電施設の建設は滝川市にとっては初めての試みでもあり、とくに懸念されたのは冬の問題です。この北国で、雪が多く寒さも厳しい時期に、発電所はちゃんと機能するのでしょうか。
そこで、北海道や新潟県などにある太陽光発電施設で計測されたデータを徹底的に調査。結果、雪国や寒冷地であっても問題なく発電している実績が確認でき、ようやくGOサインが出されました。
建設現場に近づいてみると、ソーラーパネルを固定している架台の背の高さに驚きました。なんと地面から180cmの位置にパネルの下端があり、仰向いて見上げるほどです。ほかの太陽光発電所と比べてもかなりの高さ。これは、冬の雪対策として特別に設計されたもので、地面の積雪量はもちろん、パネルから滑り落ちた雪が下に溜まることも考慮したうえでの位置なのだそうです。
架台の背が高くなると風による抵抗も受けやすくなるため、それを支える支柱もより丈夫な作りにする必要があります。基礎部分は3mの深さまで埋め込み、さらにネジのような溝をもつ杭を使ってしっかりと地面に固定。架台のフレームも9mmとかなり厚いタイプを使い、風速40mの強風に耐えうる構造を実現しました。
さらに、パネルは表面に雪が積もりづらいように、通常より深い35度の斜度をつけて設置してあります。この場合、陰になる部分が増えるため、パネルの列の配置間隔をあける必要が出てきますが、ここでは、発電効率が高いカナディアン・ソーラー社製「ELPS」シリーズのパネルを採用することで、そのロスを補うことが可能になりました。
「伯東滝川ほほえみソーラーパーク」は2013年8月末に稼働を開始。年間の発電量は、およそ600世帯の使用量にあたる約200万kWhを想定しています。遊休地の利用と してかなり効果的なものになるのではないでしょうか。北国でのクリーンなエネルギー作り、そのモデルケースのひとつとして、今後も見守っていきたい発電所です。
※取材:2013年6月