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心にのこる癒しの旅 アルゴンキンの森へ
オンタリオで最古の州立公園アルゴンキン。その美しい森と湖には、力強い自然のパワーが満ちています。
静かな景観の中、太陽の光を浴び、心も体も癒されるような極上のアウトドア体験を。

乱伐による荒廃から蘇った大自然

カナダ最大の都市トロントから北へ、車で3時間ほど走ったところにあるアルゴンキン州立公園。東京都の3倍以上の広さに、トウヒやマツ、メープルなどが鬱蒼と茂る深い森が広がります。大小の湖が点在し、ところどころに大きな岩がむき出しになった景観は、訪れる人の心を強くひきつけます。力強い陽射しに育まれ、見るからに原生林の迫力に満ちたアルゴンキンの森ですが、実はこの風景、100年以上の歳月をかけて甦ったものだといいます。
1800年代、この周辺ではヨーロッパの木材需要を満たすため乱伐が行われ、森は死にかけていました。貴重な水源地帯でもあるこの地の荒廃に危機感を抱いたオンタリオ州政府は、その水と森、そして野生動物を保護するため、広大な一帯をオンタリオでも初めての州立公園に制定。以来、自然のあるべき姿を維持しながら、人々にリクリエーションの場を提供し、また同時に計画的な木材伐採も行うという試みが続けられてきました。今ここには壮大な森が復活。ムース(ヘラジカ)やビーバーなど50種類以上の哺乳類をはじめ、140種類の野鳥が生息する野生動物の宝庫ともなっています。

鬱蒼とした森の中に大小の湖が点在

ムース、ビーバーなどと遭遇するチャンスも 地平線まで森が色づく秋景色も見事

最古の州立公園で夢のようなパドリング

オンタリオで最初にできたアルゴンキン州立公園はまた、カヌーパラダイスとしても世界的に知られるようになりました。森の中に点在する無数の湖とそれをつなぐ大小の川。それが網目のように張り巡らされ、総距離2,000kmにも及ぶカヌールートを作り上げているのです。
カヌーにテントや食料を積み込んで水路を渡り、キャンプをしながら奥地を巡る、そんな冒険旅行も大人気。夏には多くのカヌーイストが訪れ、ダイナミックな水辺の旅を楽しんでいます。

左)静かな湖面にカヌーを浮かべて水面から森を堪能
右)カヌートリップは小さな子どもたちにも人気

ベテランのインストラクターと共に楽しむガイドツアーも充実

もちろん、ガイド付きのツアーや初心者向けレッスンもあるので、旅行者も気軽にその水上体験が楽しめます。カヌーは、1本のパドルで漕ぎ進み、舵もとります。水中のちょっとしたパドルの角度で舳(へさき)が敏感に左右に振れる、その感覚がわかってくると断然面白くなり、病みつきになってしまいます。
カヌー操作に少し慣れたら、ぜひ早朝のパドリングを。夜明け前、朝もやが立ち込める夏の湖に漕ぎ出します。やがて湖面を覆う霧の向こうに巨大な太陽が昇り、あたり一面がまぶしいほどのオレンジ色に。聞こえるのは、水鳥ルーン(アビ)の鳴き声と、パドルが水を掻く静かな音だけ。なんとも幻想的で、感動的。一生忘れることができないような、印象的なひと時がここにあります。

朝もやの中でのパドリングは、とびきり印象的な体験

ハイキング、フィッシングなどアクティビティ満載

長大なカヌールートに比べ、この公園内で極端に少ないのが道路です。主要な道路は南部を貫く国道60号線1本のみ。56kmほどの距離ですが、アルゴンキンの地形に合わせてなだらかに起伏を繰り返し、鮮やかな森と点在する湖をたっぷりと堪能できる絶景ドライブルートです。
またこの道路からアクセスできるハイキング・トレイルも15本ほど整備されており、自分の足でその雄大な風景の中に入っていくこともできます。往復2km程度の簡単なコースから10km以上の上級者向けコースまで揃っており、高台からアルゴンキンの森を一望したり、湖を一周したりと変化に富んだハイキングが楽しめます。公園内の小さな店でサンドイッチなどを調達し、じっくりと歩いた後は、眺めのいいところでアウトドアランチ。そんな風にカナダ流にのんびりと満喫するのが、おすすめです。

左)森林浴を楽しみながらハイキング
右)高台まで歩いて森を見渡しながらピクニック

野鳥のさえずりと風の音を聞きながらフィッシング

この他にも公園内にはアウトドアアクティビティが満載。サイクリングやフィッシング、そして野生動物や野鳥の観察。ちょっと変わったところでは、オオカミとの交信を試みる「ウルフハウルズ」というのもあります。これは公園事務所が主催するプログラムで、夜空に向かってオオカミのように遠吠えをし、返事を待つというもの。ちょっとユーモラスですが、実際に遠くの森の中からオオカミの声が戻ってくることも。そんなときは言葉では言い表せない感動に包まれます。

歴史あるロッジに滞在し、星空に感動!

滞在のおすすめは、公園内に古くから残る3軒の伝統的なロッジやコテージ。いずれも森の中の湖畔に、ひっそりとたたずむ隠れ家的な宿で、しみじみとプライベート感あふれる滞在が満喫できること請け合いです。ドアを開ければ目の前が湖というシチュエーションですから、朝もやの中でのパドリングを体験するのにも理想的です。
そして夜になったら、ぜひ上空に目を移してみて下さい。そこには見たこともないような圧倒的な星空が広がっているはず。くっきりとまさにまぶしいほどに輝く天の川。一つ一つの星の色の違いまで見て取れるほど。それが静かな湖に反射して、まるで足元から宇宙が広がっているかのような、神秘的な風景に出会えます。
決して派手なリゾートではありませんが、印象的な風景に満ちたアルゴンキン州立公園。美しい森の中で、心に残る体験が待っています。

左)湖畔にログハウスのコテージが建つ「キラニー・ロッジ」
右)レストランの料理も評判のロッジ「アロウホン・パイン」

美しい夕暮れ。やがて湖の上には満天の星空が

Photo: Satoru Seki, Hiroko Yoshizawa, OTMPC